イーサン・ホークとジュリー・デルピーの全ての演技がナチュラルです。
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あらすじ
アメリカ人男性のジェシーはパリへ向かう長距離列車に乗っていると、偶然知り合ったフランス人女性セリーヌと意気投合します。ジェシーは目的地のウィーンで降りようとする時、セリーヌに翌朝のフライトまでの間、一緒に観光でもして過ごそうとセリーヌを誘います。
二人の英語
ジェシーを演じるのはアメリカ人のイーサン・ホークです。そしてセリーヌを演じるのはフランス人女優のジュリー・デルピーです。ジェシーとセリーヌ以外の登場人物はオーストリア人が殆どです。オーストリア人はドイツ語が母国語です。
ジェシーはアメリカ人ですので英語で話します。セリーヌはフランス人ですが、英語を話します。物語の冒頭でジェシーはパリの地下鉄で片言のフランス語を話したとセリーヌに言いますが、単語も非常に怪しいぐらいの感じでした。セリーヌの英語は非ネイティブの英語ですが、非常に聞き取りやすい英語です。
列車の中で二人は英語について会話するシーンがあります。そのやり取りが興味深いです。
ジェシーがセリーヌに「英語をどこで習ったの?」と聞きます。セリーヌは「L.A.のサマースクールで」と答えます。直後にセリーヌはジェシーに「あなたはどこで英語を習ったの?」と聞き返します。ジェシーは「アメリカ人だよ」と答えます。そこでセリーヌは冗談ぽく「アメリカ人?ホント?」と言います。
このシーンではセリーヌが多くのアメリカ人は英語以外の言語を話せない事を少し冗談ぽく”からかって”いるんですね。言われたアメリカ人のジェシーもその事を理解している素振りです。
また、食堂車の中というのも素敵ですね。日本に食堂車のある列車は殆どないと思います。物語の後半にもセリーヌがフランス語でジェシーに話し掛けるシーンがあります。(電話のシーンです)
ウィーンの街のなかのオーストリア人の殆どはドイツ語ではなく、ジェシーとセリーヌに英語で会話します。多くのヨーロッパ人は母国語以外の言語を話せます。そのあたりも見事に描いているのがとても良かったです。
素敵なシーン
駅から出て二人は小さな橋を渡ります。ジェシーは会話が途切れないように「This is a nice bridge」と言います。綺麗な橋だとは思いますが、敢えて「素敵な橋だね」という橋ではないんですよね。セリーヌも「Yeah」と合わせるのが良いですね。
直後にオーストリア人に街の名所を聞く時にとっさにセリーヌが「ハネムーンで来たんです」と嘘を付くのも良いですね。さっき知り合った男女なのに。
ウィーンの街を散策する二人は古いレコード店に行きます。試聴室でレコードを聞く時、目が合いそうで合わない二人がとても良いと思いました。目が合いそうになると、どちらかが照れくさそうな感情を少し隠して目線を外します。私はこのシーンが好きですね。
どちらのシーンも演技をしているとは思えないほど、自然な感じです。ナチュラルで演じている感が凄いですね。
原題は「Before Sunrise」です
日本では「恋人たちの距離(ディスタンス)」と言うタイトルの映画です。原題は「Before Sunrise」です。意味は直訳で「日の出前」です。これはジェシーがウィーン発の飛行機に乗るまでの「日の出前」まで観光でもしようとセリーヌを誘って列車を降りたところから来ています。
でも、日本語公開時は「恋人たちの距離(ディスタンス)」でした。これはかなり評判が悪かったらしく、DVD発売時に「ビフォア・サンライズ 恋人までの距離(ディスタンス)」へ変更されています。私も原題の「Before Sunrise」を見た時にそのままの「ビフォア・サンライズ」で良いのでは思いました。
ちなみに続編は「Before Sunset」です。日本公開時はもちろん「ビフォア・サンセット」でした。
続編はBefore Sunset
「恋人たちの距離(ディスタンス)」は1995年に公開されました。そして、続編は2004年に「ビフォア・サンセット」が公開され、さらに「ビフォア・ミッドナイト」(Before Midnight)が2013年に公開されました。時間の流れが現実と同じなので二人の成長もそのまま楽しめます。2025年ぐらいにも続編が公開されて欲しいですね。
1995年は携帯電話がそれほど復旧していなかった時代です。当然SNSなどもありません。もし、あったら続編は公開されないか、翌年あたりに公開だったかもしれませんね。(ネタバレになりそうなので詳しくは最後まで観て確認して下さい!)
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