ウイルス学者の研究は人類の幸福に導くための崇高な取り組みであり、医師や獣医師に限定されません。
ウイルス学者は医師or獣医師?
ウイルス学者は、ウイルスに関する研究を専門とする科学者です。世間では全てのウイルス学者が獣医師であるといったような間違えた認識が広がっています。バイオインフォマティクス、遺伝子解析においても医師の独壇場だと。どちらも間違った認識です。ウイルスを研究する人には医師もいます。バイオインフォマティクス、遺伝子解析の研究者にも医師、獣医師以外の人もいます。
彼らはウイルスの構造、生態、増殖メカニズム、感染経路、進化などについて研究し、その知見を活かして感染症の予防や制御策の開発に貢献します。
効果的な対策や治療法の開発に貢献することと出身分野、医師や獣医師であることはあまり関係ないといえるでしょう。
新型コロナウイルスによるパンデミックの中で、ウイルス学と獣医師の役割が注目された事が記憶に新しいです。新型コロナウイルスの研究を通じて、医師は感染経路や疫学的特性を解明し、対策の基盤を提供し、感染者の治療方法などを確立しました。獣医師は感染動物の管理や人獣共通感染の研究に専門知識を持ち、感染リスクの低減に努めています。医師と獣医師は異なる専門性を持ちながらも、両方が重要な専門家です。医師は人間の健康を管理し、疾病の治療に従事しますが、獣医師は動物の健康と公衆衛生にも貢献しています。どちらも偉大であり、互いの専門知識を統合し、人と動物の健康を総合的に守るために協力しないといけないでしょう。
人獣共通感染症とは
人獣共通感染症とは、人間と動物が同じ病原体(ウイルスやバクテリアなど)に感染し、病気を引き起こす状態のことを指します。例えば、新型コロナウイルスやインフルエンザなどが該当します。これらの感染症は、人と動物の密接な接触やウイルスの飛沫の伝播によって広がり、人獣共通感染リスクが存在します。このような感染症の理解は公衆衛生学の重要な領域です。
「ジャンプ」とは
ジャンプは、『ドラゴンボール』や『ワンピース』などの代表作を持つ、人気の漫画雑誌です。数々の作品が世界的な人気を誇っています。
ウイルス学や感染症学の中で「ジャンプ」という専門用語があります。
ウイルスのジャンプとは、ウイルスがある生物種から別の生物種へと感染する現象のことです。ウイルスは通常、特定の宿主生物に対して適応しており、その宿主内で増殖します。しかし、時にウイルスは適応していない生物種にも感染し、新たな宿主へとジャンプすることがあります。このジャンプは、ウイルスが宿主となる生物の組織や細胞に侵入し、増殖する過程で生じる突然変異や遺伝子の組み換えによって引き起こされることがあります。ジャンプしたウイルスは新たな宿主で感染を広げることができ、重大な感染症の発生や流行を引き起こす可能性があります。ウイルスのジャンプは、人間と動物の間で起こることもあり、人獣共通感染症のリスクを考える上で重要な要素となります。
下記の図では③の猫から人のAに感染が「ジャンプ」です。
新型コロナウイルスによる医師と獣医師の役割
新型コロナウイルスは動物由来ウイルスと言われています。センザンコウやコウモリから人間に感染したと言われています。実際のところはよく分かっていません。
上記の図では③の猫から人のAに感染しています。その後AからB、AからCに感染しています。
人類に感染した場合(図の黄色の枠内)のその治療は医師の役割です。風邪を引いたり、頭痛がしたら、動物病院に行かないように獣医師の出番はありません。その獣医師がウイルス学者でも治療をすることは出来ません。
では、ジャンプをした感染症では獣医師の出番はないのでしょうか。動物から人に感染した場合でも、人から人に感染しない感染症もあります。(図の例では③の猫から人のAに感染したものの、AからB、Cに感染しない場合です。)その場合は獣医師の出番になります。図では猫の③から感染したことが分かりますが、実際に何から感染したの分からない場合も多くあります。その時に③だと特定するためには獣医師の力が必要です。医者では猫を含めて動物の習性は分かりません。
当然、緑の枠内にウイルスが留まっている場合は獣医師の専門範囲です。
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